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はちどりわ〜るど

それでも自分の人生に満足してるその辺によくいる外資系会社員 20代にてガン宣告。手術・抗がん剤を経て「若年性がんサバイバー」1年生。/ 「毒親サバイバー」/「性暴力サバイバー」/準ミニマリスト/日々色々勉強中 ブログで自分の幸せ&社会の幸せを考えながら生きるヒントを綴ります

最後の治療

最後の抗ガン剤、最後の治療が終わった。3回の手術。6回の抗ガン剤。  

全身の痛み、吐き気。  吐いた後、鏡の中の私を見る。

髪の毛はない、まつげも眉毛もない。 青白い顔。針による腕の内出血の跡。 体の、赤黒く、長い傷。そうか。私は、人間なのか。

自分の異常な排泄物を見つめて、ため息とともにトイレを流す。

痛みが酷く、生きることを辞めたい時があった。

歩く、食べる、排泄、どれも出来ない時があった。

痛みに耐えて、寝て、天井だけを見つめた日。恐ろしい悪夢。

全身麻酔から目が覚めた瞬間の光景。汗で濡れた病院のパジャマ。

点滴棒を支えに歩く。

点滴の音。あのカーテンの色。

痛みで、のたうち回った日。痛みで叫んだ日。干からびた舌。身体のホッチキス。

唾液を飲み込み感じた、喉まで入れられた呼吸器。身体から伸びるドレーン。顔からずれ落ちた呼吸器。

手にまとわりつく大量の髪の毛。無言で髪の毛を片付ける私と夫。

疲れているのに、寝れない夜。鏡の中の虚ろな目。 

大量の薬の仕分け。ウィッグ選び。

書類の申請。保険会社への電話。会社とのやりとり。  

大量の請求書。握りしめたクレジットカード。

未熟な人達の未熟な言葉。  

実は私の家族もガンでねという要らないカミングアウト。

支える夫の泣く姿。夫の苦しみ。夫の笑顔。 

一生懸命な夫と、一生懸命な私。  

背中をさする夫の手。

病気を知る前に撮った二人が微笑んでいる写真。 遠く、遠く感じる世界。

自暴自棄に人にぶつけた言葉。 

友人の精一杯な優しい言葉。

心の底から湧き上がる怒り。

どの痛み、どの感情も本物だった。  

 

失ったものを考える。 そして、手放していかなければいけないものも考える。

 身体だけではなく、これからの人生に必要だった、「心の外科手術」。 

鏡の中の私を見る。鏡の中の自分と目があう。 怒りとは違う。

私の黒い瞳に、強い意志を感じる。きっと、また後ろを振り返る。でも、私は前を向いている。

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